過去20年間の「前半戦終了時順位」を参考に、今後の注目ポイントを考える。 タイムリーdata vol.50
オールスターブレークを挟み、今日から後半戦が始まります。前半戦はDeNAとソフトバンクがそれぞれ首位で折り返しました。今回のタイムリーdataでは、過去20年間の「前半戦終了時順位」を参考に、今後の注目ポイントを押さえたいと思います。
過去20年間の前半戦首位チームのリーグ優勝確率は「61%」。
上の表は1995年以降の前半戦終了時首位チームの一覧です。過去20年間で、前半戦を首位で折り返したのべ41球団中25チームがリーグ優勝をつかんでいます。この数字が多いか少ないかは、判断が難しいところでしょう。
DeNAは98年(当時の球団名は横浜)以来の首位ターン。この時はリーグ優勝と日本一を果たしました。表を見る限りでは、セ・リーグはパ・リーグに比べて前半戦首位チームが優勝するケースが多くなっています。しかし、2008年に巨人が9.5ゲーム差をひっくり返したり、11年には中日が8.0ゲーム差を逆転したりと、「大逆転劇」も起きました。
パ・リーグ首位のソフトバンクは、日本ハムと同率1位だった11年以来の首位ターンです。最近20年間では、ダイエー時代も含めて4度首位で折り返していますが、いずれもリーグ最高勝率でシーズンを終えました。現在のソフトバンクと2位・日本ハムのゲーム差は3.5。このゲーム差以上でパ・リーグ優勝を逃したケースはプレーオフ制度があった05年が最後です。ただこの時もシーズン勝率はソフトバンクがトップのまま終えており、過去のデータを見る限りは「セーフティリード」を確保したようにも思えます。
逆転優勝を勝ち取るには?
それでは、前半戦を2位以下で終えたチームが優勝するにはどうすれば良いのでしょうか。その答えは、やはり「直接対決」にありそうです。逆転優勝を果たしたチームは前半戦首位チームとの直接対決で、後半戦に勝ち越したケースが目立ちます。
唯一、後半戦の直接対決を大きく負け越したのは01年のヤクルト。しかし、これにはこのシーズンならではのカラクリがありました。01年のセ・リーグは、勝利数を基に順位決定する方式を採用。前半戦で47勝を挙げた巨人に対し、46勝のヤクルトは2位で球宴を迎えています。しかし、両軍の消化試合数には差があり、勝率ではヤクルトの.597に対して巨人が.534と開きがありました。ヤクルトは後半戦で巨人に負け越したものの、結果的にはリーグ優勝を飾っています。
近年では10年のソフトバンクが、前半戦首位の西武に4勝5敗と負け越し。しかし、最後の3連戦だけを切り取ると、いずれも逆転勝利で3タテを決めています。最後の最後で直接対決を制したことが、シーズン最終盤での逆転優勝につながりました。
それでは今季のペナントレースの行方はどうなるでしょうか。セ・リーグ首位のDeNAは、広島と10試合、ほか4球団とは12試合ずつ残っています。中でも現在4位のヤクルトは、セ・リーグではDeNA相手に勝ち越している唯一のチーム(9勝6敗)。後半戦はヤクルトが台風の目になるかもしれません。パ・リーグでは、日本ハムはソフトバンクとの直接対決が残り13試合。一方で3位の西武は、残り10試合と少なく、一戦必勝でいかないと逆転優勝は厳しいでしょう。
後半戦に強いチームはどこ?
前半戦に強いチームと、後半戦に強いチームはあるのでしょうか。過去20年の成績を合算すると、純粋な勝率では巨人が後半戦で.582という数字を記録。一方で現在セ・リーグ首位のDeNAは横浜時代を含めて.448にとどまっています。ただし前半戦と後半戦の勝率差を比較すると、巨人の強さは変わりませんが、DeNAも後半戦のほうが高い勝率を残していました。今季もこの傾向が続くならば、両軍による熱い攻防戦が繰り広げられそうです。
一方のパ・リーグでは、大きな上がり幅を見せているのは楽天。過去10シーズンで後半戦に勝率を上げた年は実に7回を数えます。球団初のAクラス入りを果たした09年は、前半戦を3位の西武と4.5ゲーム差という状況で折り返しました。しかし後半戦で勝率.639と驚異的な強さを発揮し、最終的には2位でシーズンを終えています。今季は、3位と7ゲーム差の5位と苦しい位置ですが、奇跡の追い上げを見せることはできるでしょうか。
前半戦順位と最終順位の変動は?
最後に、前半戦の順位から最終的にどれほどの変化が起きるのか見てみましょう。各年度で前半戦終了時の消化試合数やゲーム差にバラつきがありますが、過去20年間のうち前半戦でBクラスだったチームが逆転優勝を遂げたケースは皆無です。前半戦3位だったチームは、10年の中日が逆転優勝を飾ったり、11年のロッテは最下位に終わったりと、変化が大きいのも特徴でしょう。4、5位のチームも、Aクラス入りもあれば順位を下げるケースも見られます。読者の皆さまの贔屓(ひいき)チームは、この流れに良い意味で乗ることができるのか、悪い意味で逆らうのか。後半戦の楽しみのひとつになれば幸いです。