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コラム COLUMN

交流戦を制したソフトバンクの強さ タイムリーdata vol.42

小林 展久

 勝率の高いリーグがドラフト2巡目以降のウエーバー優先権を獲得するというシステムに変更された今季の交流戦は、過去最高の勝率.581でパ・リーグが制しました。勝率1位となったのはソフトバンク。11年目を迎えた交流戦で5度目の首位です。過去の対戦成績を見るとどのチームに対しても優勢であることを示しており、2015年も広島戦以外の全カードで勝ち越し。交流戦通算勝率が唯一.600を超えるソフトバンクが今季見せた交流戦での戦いぶりについて述べていきます。

リード時に強さを発揮した先発陣

 今季のソフトバンク先発陣は補強した松坂大輔に登板のめどが立たず、エース・攝津正の調子がなかなか上向いてこないなど、万全ではありませんでした。しかし、2勝を挙げ防御率0.86と活躍した武田翔太を筆頭に、登板した先発投手全員が交流戦で勝ち星を挙げています。先発陣の防御率3.22は12球団中4位。特にリードした状況で失点を防いだことが、防御率に大きく影響したと考えられます。

リーグ最高の救援陣が火消し

 このリード時の先発防御率の良さは、先発陣の頑張りだけではありません。Inherited Runners (登板時に塁上にいる走者)が生還し、失点につながったかどうかを測るIR%という指標は0%。つまり、ソフトバンクの救援陣は前の投手が残した走者を1人も返していないのです。特に二保旭は満塁の場面で2度投入され、その両方で無失点に抑えるなど火消しの役割を完遂。過去6年間リーグトップの救援防御率を保ち続けているソフトバンク救援陣ですが、その力を今季の交流戦でも見せつけた形となっています。

遺憾なく発揮された強力打線の破壊力


 2015年からホームランテラスが増設され、本拠地ヤフオクドームでも変わらぬ破壊力を発揮するようになった打線は、セ・リーグ各球団を圧倒しました。1試合平均5得点を挙げた打線をリードしたのは、柳田悠岐内川聖一らの強力な中軸です。特に、柳田は交流戦で12球団最高のOPSをたたきだすなど大活躍しました。持ち前のフルスイングは今季確実性を高めており、球場改修の影響もあってすでに昨季の15に迫る13本塁打を放っています。5、6番を打つ李大浩松田宣浩も好調で、12球団屈指の中軸と言っていいでしょう。

チャンスを生かした下位打線

 強力な中軸を擁するソフトバンクですが、最多の90得点を生み出した要因はむしろ下位打線にあったのかもしれません。7、8番を打つことの多かった髙田知季が、6月7日の巨人戦でプロ初本塁打をマークするなど8打点。相次ぐ捕手の故障で出場機会の増えている髙谷裕亮も5打点を挙げています。中軸が出塁し、下位打線が得点に結び付けるパターンは、交流戦で数多く見受けられました。

 今年は交流戦の1~3位が、そのままパ・リーグの上位3チームという形になっています。首位となったソフトバンクもパ・リーグ首位の日本ハムに対し、わずか0.5ゲーム詰めただけで差はほとんど変わっていません。これからもパ・リーグでは激しい首位争いが繰り広げられるでしょう。上位3チームの主力打者によるハイレベルな打撃タイトル争いと共に注目です。