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コラム COLUMN

変わりゆく先発投手の役割

小林 展久

 昨年初めて両リーグともに規定投球回到達者の数が1ケタだったNPB。今季はそれどころか、パ・リーグでは5人を切ってしまう可能性がある。8月25日時点で規定投球回に到達している6投手のうち、山本由伸(オリックス)は故障で離脱中、二木康太(ロッテ)は不調の影響で25日に出場登録を抹消され、8月末時点で4選手になる目算だ。

 シーズンを通して先発投手の役割を果たした目安ともいえる規定投球回は、在籍球団の消化試合数と同数以上のイニングを投げることを指す。現行のレギュラーシーズンは143試合のため、単純計算すると中6日のローテーションを守れば24度の先発機会があり、1登板あたり6イニングを投げることで規定投球回に到達する。つまり、規定投球回到達者の減少はローテーションを守っている投手の数、あるいは先発投手が1試合で投げるイニングに関連していると考えてもいいだろう。

 表1に先発投手の年間イニングに関係しそうなデータを整理した。なお、今季と過去年度の条件を平等にするために、各チームが115試合を消化した時点で統一している。この表から、18年の規定投球回到達者の少なさはローテーションを守っている投手の減少に起因していると考えられる。それに加えて、今季は平均投球回や投球数が例年にないほど少なくなった。リリーフ投手を先発させ、その後に先発も務まる投手をつなぐ“オープナー”戦術を多用している日本ハムを除いても平均投球回は5.56で、12球団にある程度共通する傾向のようだ。

 この投球回や投球数減少は先発投手の力が落ちてきたから、とは考えづらい。投打の結果は相対的なもので、打者全体の変化や道具の変更など何らかの要因でバランスが変われば自然と結果も変わってくる。その確認をすべく1試合平均得点4.31(前年比 -0.01)や打者1人あたりの投球数3.98(前年比 ±0.00)を探ったところ、投打のバランスが著しく変わったことを指し示す変動はなかった。そのため、今季から実施された一軍の出場登録枠拡大によって、ベンチ入りできる救援投手を増やせるようになった影響が大きいと判断し、書き進めていく。

登録枠拡大の影響

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