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ヤクルトとソフトバンク、神宮球場で活躍が期待される選手は誰だ!? タイムリーdata vol.66

伊丹 雄斗

 24日にヤフオクドームで開幕したソフトバンクとヤクルトの日本シリーズ。明日から舞台を神宮球場に移します。ヤクルトは今季本拠地で44勝22敗1分と圧倒的な強さを発揮しました。一方、今年から交流戦の試合数が変更されたこともあり、ソフトバンクは今季神宮で試合を行っていません。

 神宮を本拠地とするヤクルトと、今年初めて神宮での試合に挑むソフトバンク。今回はあるデータを参考に、この球場での活躍が期待される両軍の選手を探ります。

活躍が期待される投手は?

 まず、ヤクルト投手陣の神宮での成績を見てみましょう。注目してほしいのは石川雅規館山昌平です。この両投手は神宮以外では防御率4点台後半ながら、本拠地で同2点台の安定感を誇ります。そして、2人の投球スタイルには共通点がありました。

 それは、ともにゴロを打たせるタイプ、いわゆる「グラウンドボールピッチャー」であることです。表の「ゴロ/フライ」という指標は、1.00を超えるとその選手はゴロが多く、0.00に近いほどフライが多い選手であることを示します。このデータから分かるように、石川と館山は多くのゴロを打たせていました。

 神宮は12球団の本拠地の中でも比較的狭い球場で、投手にとって被長打のリスクが高いとされています。もちろん、ゴロを打たせれば必ず長打を防げるとはいえませんが、フェンスを直接越えるリスクは無くなります。ゴロを打たせるためなのか、2投手とも投球の約半数が低めのコースで占められていました。

 では、本題の「活躍が期待される投手」を探ってみましょう。両軍の投手の高低別投球割合とゴロ/フライを一覧にしてみました。なお表の赤字は、NPB平均より低めの割合が高い、ゴロ/フライでゴロの割合が大きい数値です。

 ヤクルトは救援助っ人トリオと中澤雅人のゴロが多く、先ほど紹介した石川、館山と同じタイプに分類されます。館山は第3戦か第4戦での先発が濃厚で、初戦に先発した石川は中4日で第5戦に登板する可能性も十分。6人とも普段通りの姿を見せることが、ヤクルトが勝利を挙げる上でのポイントになりそうです。

 一方のソフトバンクは、ゴロと低めの投球割合が両方とも高いのは武田翔太寺原隼人。ゴロ/フライではバリオス五十嵐亮太千賀滉大が目立ちますが、後者2人は低めへの投球割合が特別高い投手ではありません。ただ、五十嵐はナックルカーブ、千賀は威力のある直球やフォークでゴロに取っているようです。かつてヤクルトでもブルペンの中心だった五十嵐を始め、この5投手は投げる機会があれば、神宮に適応した投球を見せてくれるでしょう。

活躍が期待される打者は?

 ではバッターで期待される選手は誰でしょうか。石川と館山のデータを紹介した際に軽く触れましたが、神宮は長打が出やすい球場です。「本塁打パークファクター」という、1.00を基準にその球場は相対的に本塁打が出やすいのか否かを示す指標があります。これを見ると、今季の神宮は1.40と高い数字でした。投手陣とは反対に、打者ではフライが多い選手に期待したいところです。

 では、こちらでもゴロ/フライを使って「活躍が期待される打者」を探ります。また、表にはシーズンの本塁打数も載せています。

 ヤクルトでは山田哲人畠山和洋の3・4番コンビがカギになるでしょう。今季神宮ではそれぞれ23本、17本と多くのアーチを描きました。日本シリーズ連敗スタートとなったヤクルトですが、巻き返すためにはこの2人のバットが欠かせません。

 一方のソフトバンクは、松田宣浩李大浩の2人が多くのフライを放っています。この両大砲と同等のゴロ/フライを記録しているのが川島慶三。キャリア10年間で放った22本塁打のうち12本は神宮での一発でした。昨季途中までヤクルトに在籍していた川島が、かつてのホームグラウンドで大きな一打を放つ可能性も十分考えられます。


 あくまで「ゴロ/フライ」は選手のタイプを示す指標であり、優劣をつけるためのデータではありません。フライが多い投手でも神宮で結果を残している選手はいますし、ゴロが多いバッターでもアベレージを残せる打者もいます。

 そして、その球場に合うスタイルの選手もいれば、不向きな選手もいるはずです。神宮では、ここまで振るわない選手が挽回するのか、また好調な選手は勢いを持続させるのか。舞台が変わる明日からの戦いにも注目です。