得失点差がリーグワーストタイで2位?不思議な阪神の優勝争い タイムリーdata vol.59
近年まれに見る混戦となっている今季のセ・リーグ。現在、首位と0.5ゲーム差で2位につける阪神タイガースは、チーム成績で失点が得点を上回る状況です。得点から失点を引いた数は-75となり、これは今季リーグワーストタイとなっています。
点取りゲームである野球において、なぜそのような得失点でありながら優勝争いが可能なのでしょうか。過去の類似した状況のチームと比較しながら紹介します。(※データは9月15日終了時点)
歴代で見ても、希少な記録
2リーグ制となった1950年以降で、失点が得点を上回りながらシーズンで勝率5割以上を記録したのは、昨季までで43チーム。その中で最もマイナスが大きかったものは、2000年の中日と04年のヤクルトが記録した-73です。今季これまでの阪神はこれを更新しうる数字となっています。また同条件のなかでも勝率が比較的高く、シーズン終了時には歴代で見ても珍しい成績となることでしょう。
共通点は接戦に強いチームであること
では、先ほどの表の上位3チームを詳しく見てみましょう。すると、いずれも2点差以内での試合に強いことが共通点として読み取れます。
そのことは今季の阪神も例外ではありません。さらに阪神は点差が5以上の敗北数が24で、リーグで2番目に多い広島より10試合も多い結果となりました。つまり、“勝つときは僅差、負けるときは大差”の傾向があり、そのことが得失点差がマイナスなのに優勝争いができている要因だと言えるのではないでしょうか。
今季の阪神を支える投手陣
そんな今季の阪神は、接戦で勝利する中でもロースコアの試合が多いのも特徴です。1試合平均の得点を見てみると3.34。リーグ平均は3.53ですから、決して多い点数ではありません。当然ながら、勝利のために投手陣は失点を得点以下に抑えることが必要です。
実際に見てみると、3失点以上の試合の勝率は5割を下回っています。一方で、2失点以下では勝率が高くなり、その数をみると59試合。これはリーグ2位の多さとなっており、投手陣の踏ん張りが今季の阪神を支えていることが分かりました。
史上初の優勝となるか
実は、歴代において失点が得点を上回ったチームがシーズン勝率トップとなった例は、いまだにありません。阪神が残り14試合でその状況をはね返すには、1試合平均で5.4点のプラスを生み出さなければなりません。あまり現実的ではない話であり、このまま得失点差がマイナスでシーズンを終えるのは間違いないでしょう。
夏場には全チームが負け越しを記録した今季のセ・リーグ。阪神がペナントレースを制し、今季2度目の史上初の珍事が生まれるのでしょうか。