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「ホームランラグーン」はロッテの野球を変えるのか?

山内 優太

ロッテ打線が本塁打を量産

 1試合あたり2.08本の本塁打が飛び出している今季のNPB。これは過去10年で最多だった昨季の1681本を上回るペースだ。そんな中で、今季本塁打数を大きく増やしているのがロッテである。ロッテは昨季まで4年連続でリーグ最少の本塁打数に終わるなど、慢性的な長打力不足に悩まされていた。特に深刻だったのが日本人スラッガーの不在で、これは昨季井上晴哉がチーム最多の24本塁打を放ったが、チームの生え抜き選手で20本塁打をクリアしたのは、09年のサブロー以来9年ぶりだったことからもうかがえる。しかし、今季は本拠地・ZOZOマリンで行われた開幕3連戦で6本塁打が飛び出すなど、交流戦前の時点で昨季1シーズンの約85%にあたる66本塁打を記録。このペースで打ち続ければ、チーム本塁打が9年ぶりに100本に到達するのも時間の問題だろう。

「ホームランラグーン」の新設

 本塁打が増えた要因は、今季新たに設置された「ホームランラグーン」の存在が大きい。本塁打の多寡は選手の力量もさることながら、球場の大きさ・性質によって左右される。参考までに、2018・19年のパ・リーグ本拠地球場における本塁打の出やすさをパークファクターで示したのが表1だ。パークファクターとは球場ごとの数値の偏りを表す指標で、今回の場合は1を上回れば本塁打が出やすく、下回れば出にくいことを表す。昨季までロッテの本拠地・ZOZOマリンは、両翼99.5メートル、中堅122メートルと標準的な大きさだったものの、外野スタンドの場外に広がる東京湾から吹く風のあおりを受け、外野への飛球が押し戻されるシーンが多々あるなど、打者不利の球場であった。


 つまり、ロッテの本塁打数がなかなか伸びなかったのは、“本塁打の出にくい球場”が本拠地という環境面も大きく影響していたと考えられる。そんな状況の中で、今季は左中間と右中間に既存のフェンスから最大4メートルせり出した観客席「ホームランラグーン」を新設。本塁打パークファクターも、今季のZOZOマリンは1を超えており、比較的“本塁打の出やすい球場”であることを示している。実際に今季ZOZOマリンで生まれた66本塁打のうち、14本は「ホームランラグーン」に飛び込んだもので、この中には昨季までであれば外野へのフライアウトとなっていた打球も少なくない。


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