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コラム COLUMN

NPB捕手のフレーミング能力に迫る

山田 隼哉

捕手がボールをストライクに変える

 最近、フレーミングなる言葉を目にしたり、耳にしたことはないだろうか。MLBではここ数年、捕手の守備力を評価する上で新機軸が登場している。それがフレーミングだ。本記事では、NPB版のフレーミング評価にトライしたい。

 フレーミングとは、際どいゾーンの球を球審にストライクと判定させるスキルのことだ。捕球時にミットをわずかにずらしたり、体を寄せたりすることで、ボールと判定されそうな球をストライクとコールさせることができる。一種の審判の目を欺く行為とも言えるが、サッカーでもファウルをもらったように見せかけるテクニックが存在するように(レフェリーに見抜かれればペナルティを受けるが)、審判が人間である以上、勝利を目的としたプレーヤーが自分たちに有利な判定を引き出そうと工夫するのはある意味で自然なことだ。

 先日、トレードでテキサス・レンジャーズからロサンゼルス・ドジャースに移籍したダルビッシュ有も、フレーミングに定評のあるヤズマニ・グランダルとバッテリーを組むようになってから、その恩恵について言及していた。ボールをストライクにしてくれる捕手の存在は、投手にとって大きな助けとなる。

その捕手は何球ストライクを増やしたのか

 フレーミングという概念はなにもMLBに限ったものではない。どこの国の野球でも微妙なストライク・ボールの判定は存在するし、そこに捕手のキャッチングが多少なりとも影響していることは周知の事実だろう。

 重要なのは、近年それがMLBで数値化されてきたということだ。テクノロジーの進化により、どの捕手がどのくらいストライク判定を引き出しているかを数値で評価することが可能になった。そして、シーズン単位で見ると、フレーミング能力に優れた捕手とそうでない捕手では、チームの総失点の差が30にも40にも及ぶことが分かってきた。

 当然、NPBにおいてもフレーミングはMLBとほぼ同等の価値を持ったスキルであると考えられる。だが、それを定量的に評価し、明示した例はおそらくない。定量化自体は行われていたとしても、それは球団内部のみ、いわゆるインハウスで進められており、われわれの目に触れる機会はない。

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