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データが語りかける野球の10の事実

Baseball LAB編集部

ふと誰かに伝えたくなる会話の種から、部活のミーティングの議題まで。膨大なデータの海から、野球にまつわる“法則”をいくつかご紹介します。




1.どんな天才打者でも打てないカウントがある


 球史に残るアベレージヒッターでさえ、追い込まれると打率は急降下する。現役の右打者として最高の評価を得ている内川聖一であっても、2ストライク後の打率は.240。追い込まれる前の打率.364とは埋め難い大きな差がある。これは内川に限らず、ほとんどの打者に共通する傾向となっている。



2.本塁打が出るカウントは3ボール0ストライク


 野球のボールカウントはストライクとボールの組み合わせで12種類。この中で、投手が大きなリスクを背負うカウントが3ボール0ストライクだ。四球を出したくない心理からストライクを取りに行かざるを得ず、結果として安打のうち23%が本塁打となっている。幸い打者が手を出すケースは比較的少ないが、狙われている局面では手痛い一打となる危険性が高い。どうにかストライクをひとつ取ってカウント3ボール1ストライクとすれば、割合は14%と下がる(それでも12種類のカウントのうち2番目に悪い)。



3.ボール球見極めのカギは左右よりも高低


 バッテリーは打者にボール球をスイングさせようとあの手この手で揺さぶりにかかる。個人差はあるが、打者は内外角に外れるコースは意外と我慢できる(スイング率20%前後)。ところがホームベース上の高低の変化となるとほとんど見境がない(スイング率40%前後)。低めのフォークに手を出さないバッターは、我々の想像以上に忍耐強い打者と言える。



4.ファウルを打てば打つほど塁に出る確率が上がる


 追い込まれると打者は窮地に立たされる。だが、ピンチをしのぐ手もないわけではない。ファウルを打って粘る方法だ。打率、四球率、そして出塁率はファウルを打てば打つほど数字が良くなっていく。出塁率.232が.338まで上がることを知れば、粘り強さの真価を再認識できる(2ストライク後、ファウル0球の打席とファウル4球以上の打席の出塁率比較)。



5.セーフティバントが決まりやすいのは一二塁方向


 セーフティバントが安打となる確率は、二塁手に捕球させたケースが最も高い。これに次ぐのが一塁手による捕球で、基本的に一二塁方向に転がした方が出塁できる可能性は高い。これは一塁のカバリングが複雑となるのが原因で、プロレベルであっても連携に混乱をきたすケースがしばしば見られる。あなたが右打者ならプッシュバントを、左打者ならドラッグバントを練習すべきだ。


6.スクイズは丁半博打


 スクイズを試みて三塁走者が生還する確率は48%。ただし、フェアゾーンに転がすことさえできればその確率は約80%に達する。前へ転がしたにも関わらず失敗となるのは、投手による捕球のケースが大半だ。



7.空振りが欲しければフォーク


 どうしても空振りを取りたい局面では、フォークが最も頼りになる。狙い通り低めに決まった場合には、打者のスイングに対して45.6%の確率で空振りを奪っている。同じく縦に変化するタイプのチェンジアップも空振りの期待値が高い。



8.直球の奪空振り率はスピードと比例する


 150キロのストレートが珍しくなくなり、いたずらにスピードを追い求めることを戒める風潮がある。とはいえ、ストレートは速ければ速いほど空振りを取れる。140キロ前半のストレートと155キロ以上のストレートでは、空振りを取る頻度は2倍以上も違う。投手にとってスピードは全てではないが、打者を打ち取る上で得難くも重要な能力である。



9.「遊び球」は投げるべきではない


 バッテリーは打者を追い込んだら早々に勝負した方が良い。追い込んでから最も三振を取る確率が高いカウントは、0ボール2ストライクだ。これは投手が打席に立つケースを除いても同様であり、ボール球を挟んで「遊ぶ」ほどバッテリーは自らの足元を危うくする。



10.立ち上がりは制球が乱れる


 先発投手の立ち上がりの難しさは制球面の不安に現れる。与四球を出す頻度が最も高いのが初回で、コントロールが乱れやすい。優れたスターターは初回に四球を与えず、安定した滑り出しで試合をつくっていく。





――今回紹介した10の事実は、書籍「高校球児に伝えたい!プロだけが知っているデータで試合に勝つ法」より抜粋しました。データの詳細を知りたい方や、そのほかの「事実」に興味を持たれた方は、ぜひ本書を手にとってみてください。



高校球児に伝えたい! 
プロだけが知っているデータで試合に勝つ法

出版社 東邦出版
単行本 232ページ

監修 データスタジアム株式会社
価格 本体1,500円+税
発売日 2014年8月7日