進化する変化球。フロントドアとバックドアに迫る! タイムリーdata vol.25
“反則技”を武器にする最強右腕!
その中でも注目は広島・黒田博樹。メジャーで活躍した右腕は、「フロントドア」と「バックドア」を得意としています。フロントドアは内角のボールゾーンからストライクゾーンを狙う変化球で、黒田(右投手)の場合は左打者の内角に投げるツーシーム、右打者の内角に投げるスライダーを指します。反対にバックドアは外角のボールゾーンからストライクゾーンを狙う変化球で、左打者の外角に投げるスライダー、右打者の外角に投げるツーシームを指します。
ここで日本での最終年であった2007年とメジャーでの直近3年間の投球割合を比較してみましょう。黒田は右投手なので、投球割合の算出はそれぞれ、
スライダーのフロントドア割合=右打者への内角スライダー投球数÷右打者へのスライダー投球数
ツーシームのフロントドア割合=左打者への内角ツーシーム投球数÷左打者へのツーシーム投球数
スライダーの バックドア割合=左打者への外角スライダー投球数÷左打者へのスライダー投球数
ツーシームの バックドア割合=右打者への外角ツーシーム投球数÷右打者へのツーシーム投球数
としています(捕手が構えたコースのデータを取っていないため、逆球など結果的に「フロントドア」「バックドア」になってしまった投球も含んでいます)。
NPB時代とMLB時代で割合の差は明らかで、ツーシームの数字が大きく増えています。黒田がアメリカで成功をつかむために覚えたこの球は、メジャーでは主流の投球術。かつて松井秀喜氏もこの球を「反則技」と表現したことがあるほどです。
日本での認知度はまだ低いこの2つの球ですが、実際にはどのくらい投げられていたのでしょうか。今回はスライダーとシュート(ツーシーム)の球種だけに絞って見ていきたいと思います。過去10年間のNPBの投球割合を見ると、フロントドアの割合はほぼ変わっていません。一方のバックドアは、スライダーに関しては若干増加傾向にありますが、まだ流行しているとはいえなさそうです。現在ヤンキースで活躍する田中将大は今季のブームを予言していますが、果たしてどうなるでしょうか。
フロントドア・バックドアの効果
では、フロントドアとバックドアはどのような効果があるのでしょうか。セオリーといわれる打者の内角にはより内側に入り、外角にはより外側に逃げていく変化球の配球と比較してみましょう。打者にとって意表を突かれるためか、フロントドア・バックドアともに昨季の見逃し率は、セオリーの投球に比べて高くなっていたことが分かります。一方で奪空振り率はともに低く、特にスライダーはセオリーの半分以下になっていました。見逃す確率は高いが当てられやすい球という表現が、数字を見る限り当てはまるでしょうか。
積極的に活用したチームは・・・
最後にチーム別の昨季の投球割合を見てみましょう。フロントドアに関してはどの球団もそれほど差はありませんでしたが、スライダーのバックドアはDeNA投手陣が非常に高い割合を記録していました。前述したように逆球を全く考慮していませんが、それを抜きにしても主にマスクをかぶった黒羽根利規は、バックドアをより多く要求していたことがうかがえます。井納翔一や三浦大輔などスライダーを得意とする投手が多かったのも一因かもしれません。
反対に低い割合だったのは広島。しかし今季、黒田の加入により他の投手陣もこの球を使うようになることは十分に考えられます。シーズン終了後にはどのくらい数字が上がっているのか注目したいと思います。